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第27回 愛知県作業療法学会

● 特別講演

当事者となったSTが語る高次脳機能障害の世界

関 啓子 氏
(三鷹高次脳機能障害研究所所長)

概要

演題:非当事者の当然は当事者の非当然~当事者セラピストが発見したギャップ~

私は発症前の約15年間、我が国が誇る半側空間無視の世界的権威石合純夫先生の共同研究者として無視研究に専念し一流国際誌受理・掲載の英論文20編以上を量産したほど無視の世界にのめりこみ、国際的無視検査BITの日本版を出版するなど、ある意味で石合研究グループの黄金時代を築いた者です。

その私が右半球損傷患者となった時、私は長い間知ることができなかった無視患者の世界を自ら体験できる状況になったことに、大変心が躍りました。患者さんの内省から想像するしかない「実際はどのように見えているのか」「どうして左を見ようとしないのか」という疑問を常に抱いていたからです。

その答えは探索型の課題において明確になりました。線分二等分(LB)、抹消(CA),模写(CO)の3種類の検査は無視検出に適したセットと言われています。私はLBとCOでは無視研究過程で得た極上の解決法を駆使してカットオフ得点を超える結果を残したのですが、病巣が前方にかかっていたこともあってかCAは苦手意識がありました。たとえば、BITの線分抹消・星印・文字の各タイプの抹消試験では、右から探索行動を始め視線を左方に移して抹消すればよいとはわかっていたものの、ある領域に至ると標的が認識できなくなってしまうのです。

また、TMT-Aでは1から7まで見つけることができたものの、無視患者が見落としがちな左下の領域にある8を見つけることができませんでした。検査自体はこれまで検者として何度となく使ってきたので、正答は記憶しており、次の数字は左下の領域にあることを知っていました。しかし、見えるのはただ線の端と影のような何かと白い紙ばかりでした。

ここにギャップがありました。この続きは当日!

講師

関 啓子 氏
(三鷹高次脳機能障害研究所所長)

言語聴覚士。医学博士。専門は神経心理学。
首都大学東京大学院人間健康科学研究科、上智大学国際言語情報研究センター、国立障害者リハビリテーションセンター学院言語聴覚学科ほか非常勤講師。略歴詳細はウィキペディア 関 啓子(言語聴覚士)に掲載。

・略歴資料はこちら(pdf)

愛知県作業療法士会