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第27回 愛知県作業療法学会

● 教育講演

障害を持った人のセクシャリティの問題

熊篠 慶彦 氏
(特定非営利活動法人ノアール理事長)
玉垣  努 氏
(神奈川県立保健福祉大学 作業療法学専攻長 教授)

概要

“普通”とは実はいかに危うく尊いものでしょうか。人々の生活環境の中で、確かに性活動は普通に営まれているはずです?!障害を持つ人々には、その性活動が“普通”ではないのです。テレビで流れてくる障がい者像は、聖人で努力家で清廉潔白でやさしい人です。このような、障がい者像の一元化がバリア-になっているのです。しかし、私が知っている障がいを持つ人々は、笑ったり、怒ったり、がんばったり、ねたんだり、卑怯だったり、嘘をついたり、正直だったり….すなわち普通なんです。つまり、普通にHなことに興味があるんです。ただ,障がいがあることで、人に依頼しなければならなかったり、特別な配慮が必要であったり面倒くさいことが多いのです。時にはあきらめなければならない現状があるということです。私は“普通”とは、あまり努力せずにあまり考えることなくことを成していくことだと思います。

障がいを持つ人々の “普通”を画一的に表現できない為に、色々な立場の人例えば、社会学.医学.福祉.当事者.家族.ボランティアなどに意見を聞きました。多様な考え方や行動や実践を聞くことができました。私自身も知らないことが多く、一番刺激を受けた作業療法士でもありました。特に当事者の実践報告には、良し悪しは別として“普通”になることが、いかに大変なことかを教えていただきました。

私は27年間の臨床を離れ、現在は作業療法士教育に携わっています。リハビリテ-ション教育では、機能障害や異常などの特異性を教えています。つまり、ある意味、学生は非日常をいろいろ覚えなければならないのです。もちろん近年は、国際生活機能分類(以下ICF)の考え方が浸透しており、良い側面も見るようにしています。まさにこのICFに、性活動の重要性が提示してあることに気づいている人がどの位いるでしょうか?生活の質を問うのなら、性活動についてもきちんと提示する必要があると考えています。

講師


熊篠 慶彦 氏
(特定非営利活動法人ノアール理事長)

略歴

・特定非営利活動法人ノアール代表。

1969年、神奈川県生まれ。出生時より脳性麻痺による四肢痙性麻痺がある。医療、介護、性風俗産業など、さまざまな現場で障害者の性的幸福追求権が無視されている現状に突き当たり、ノアールを通して身体障害者のセクシュアリティに関する支援、啓発、情報発信、イベントなどを行っている。性的自助具の開発・実演、西欧・北米の視察など精力的な活動の傍ら、自身が企画・原案・製作に携わった映画『パーフェクト・レボリューション』(監督・脚本:松本准平、出演:リリー・フランキー、清野菜名ほか)が2017年秋、全国劇場公開。編著書に『身体障害者の性活動』(2012年、三輪書店)、著書に『たった5センチのハードル1969ー2017』(2017年、ロフトブックス)がある。





玉垣 努 氏
(神奈川県立保健福祉大学リハ学科作業療法学専攻 教授)

略歴

昭和58年に国立善通寺病院付属リハ学院卒後、同年4月より神奈川リハ病院作業療法科に就職。以来、頸髄損傷や脳性麻痺や脳卒中の訓練や生活道具の開発,市販化などを行ってきた。現在、脊損作業療法研究会や臨床動作分析研究会や活動分析研究会や脊損者の家族会などで活動し、平行して生態心理学の研究や福祉用具の開発など色々なことにチャレンジしています。平成21年4月より、目白大学に准教授として赴任、同時に首都大学博士課程入学し、平成23年10月より神奈川保健福祉大学に赴任し悪戦苦闘の日々を暮らしている。

著書:
福祉用具・住環境整備の作業療法 (クリニカル作業療法シリーズ)
身体障害者の性活動
OT臨地実習ルートマップ
作業療法技術学2 福祉用具の使い方,住環境整備(作業療法学全書)
疾患別 作業療法における上肢機能アプローチ
中枢神経系疾患に対する作業療法
テクニカルエイド―福祉用具の選び方・使い方
疾患別 作業療法における上肢機能アプローチ
ADL―作業療法の戦略・戦術・技術
移ることの障害とアプローチ (作業療法ルネッサンス-ひとと生活障害- (2))
OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
福祉用具・住環境整備の作業療法
動画で学ぶ臨床で使える評価法 頸髄損傷者の実践的な徒手筋力検査
身体機能作業療法学 第3版
作業療法評価学 第3版
臨床動作分析

愛知県作業療法士会